第11回
プリンスエドワード島の灯台と
『赤毛のアン』の故郷を訪ねる旅

     
 2007/6/9(土)〜15(金)



 カナダ・プリンスエドワード島は世界有数の美しい島としても有名だが、美しい灯台や可愛らしい灯台が70以上もあることで知られており、また、あの「赤毛のアン」の故郷としても大変有名な島である。そのため、今回は灯台ファンに加え、「赤毛のアン」ファンも加わった彩りあるツアーとなった。

 メンバーは灯台グッズのお店「ライトハウスキーパー」オーナーのYYさん、その奥様で普段は大学の教壇に立つKYさん、元海上保安庁にお勤めで皆の人気者TTさん、海外旅行経験が超豊富でツアーコンダクターにもなれそうなTSさん、その爽やかさ故、30代との説があったが実は50代後半の会社役員のSAさん、真面目な顔から出る一言一言が漫才のようなインテリアデザイナーで京都在住のNNさん、その奥様でいつもいつも楽しそうにしているアンと灯台の大ファンのSNさん、灯台ファンの旦那様が参加できなくなり急遽ピンチヒッターとして浜松から来られた塾経営のSYさん、毎日早朝からフル稼働しているキャリアウーマンで、にわかカメラマンのYMさん、熱心な灯台&灯台グッズファンで静岡から参加のSMさん、そしてアンが大好きで灯台を少し好きなAS−私の総勢11名である。


1日目:成田空港−トロント〜ベストウェスタン泊〜
 夕方、トロントに無事着いたかと安心していたら、時間になってもホテルのシャトルバスが迎えに来ない。電話で問い合わせてみると「今出た」「道路が渋滞している」とまるでそば屋の出前のようだ。2時間ほど待ってやっと来たが、ホテルまでの道路はガラガラだった。後で分かったことだが電話をしていたのはベストウエスタン本部のオペレーションセンターでホテルにはまるで通じていなかったのだ!そんな具合でホテルでの夕食は22時半頃からと大変遅かったが、すでにすっかり楽しい仲間として打ち解けたメンバー達は明日からの期待を胸にとっても愉快な雰囲気の会食だった。


2日目:トロント−シャーロットタウン−オーレリー
  〜ウェストポイントライトハウス泊〜
 早朝、空路シャーロットタウンへ。憧れの島の空港は小さく、YY、KY夫妻、SAさん、YMさんの荷物が運ばれていないというトラブル付きだった。機体が小さいので荷物室が満タンになると躊躇無く次の便にまわされてしまうのだそうだ。

 レンタカーの手続きを終え、昼食に向かった街中のダンディアームスというレストランはクラシック調の素敵なインテリアで食事もおいしく、中でも島の名産品であるジャガイモは甘く、いくらでも食べられた。
 島で最初に訪れたリーズレンジ灯台は、レンズの下あたりから白地にオレンジの帯が縦にペイントされた板がついており、数人で何だろうと話していると元灯台守の専門家TTさんが教えてくれた。それは導標という航路標識の一つで座礁、乗揚げなどの船の危険を防ぐためのものだと。勉強になります!
 13kmある冬季に海が凍結する地域にあるものとしては、世界最長の水の上の橋、コンフェデレーションブリッジに途中立寄りながら
シーカウヘッド灯台へ向かう。断崖を見下ろすその灯台は、まぶしい緑の草原を眼の前にし、海とのコントラストが美しく皆思い思いにシャッターを切る。断崖からの飛び込みを楽しんでいた現地の青年達ともついでにパチリ。

●シーカウヘッド灯台にて現地の若者と


●ウェストポイント灯台にて
 本日の宿泊先であるウェストポイント灯台では、プリンスエドワード島ライトハウスソサイエティ創立者のキャロルさんが出迎えてくれ、夕食を共にした。
 新鮮なシーフードをいただきながら、ここの灯台守であった彼女の父や祖父の苦労話、ソサイエティの役割などの話をするのだが、通訳のYYさんもそれを聞く我々も時差ぼけでこっくりこっくり。
 空港で受取れなかった人たちの荷物が届く頃、食堂の窓から焼けるような夕陽が入り、皆思わず海まで飛び出す。が、ここの蚊はとにかく凄い。外に出ると一斉に襲ってきて人なのか蚊柱なのかわからなくなる。私達は早々に室内に退散したがYMさんは体中をさされながらもオフィシャルカメラマン(ウーマン)としての使命感に燃えシャッターを押し続けていた!
 キャロルさんの案内で眠い目をこすりながらレンズまで登り、灯台見学を堪能したら本日のスケジュール終了。おやすみなさい。


3日目:オーレリー−キャベンディッシュ
  〜キンドレッドスピリッツ・カントリー・イン泊〜
 無事に終わったかに見えた昨夜の解散後の事件を2つ。
 まずはTTさんの話。就寝前に歯磨きしようと洗面の蛇口を右に回しても左に回しても水が出てこない。実はこの蛇口、押したり引いたりして開閉するタイプだったのだが、故障だと思ったTTさんは仕方なく、シャワー室で裸になって体中びしょびしょになりながら歯を磨いたそうだ。そして今朝もまた・・・。
 
続いてYMさんの話。解散後部屋に入ろうとすると鍵が壊れていて開かない。何をやっても駄目だし、フロントスタッフは帰ってしまっている。気がつくと荷物が廊下にある。そう、YMさんは空港で荷物が出て来なかったトラブル被害者の一人でさっき届いたのだ。たまたま一つあった空室で無事に夜を越し、「人生不幸がどう幸いするかわからない」と悟ったという。

 ホテル出発。今日も車窓からの眺めが素晴らしい。鮮やかな緑の草原の向こうにある濃い青の海、どこまでも続く赤い土、ところどころ積んである干し草を束ねた太いロール。そんな景色に酔っているとたちまち濃い霧で頭上が全く見えなくなってしまった。
 注意しながら運転していると
ノースケープ灯台に到着。霧のため上半分が隠れている灯台の前で集合写真の準備をしていると、日頃の行いの良さからか急に晴れてきた。同時に辺り一帯、無数の風車が立ち並んでいる姿が出現した。
 昼食はアルバートンという控えめな賑やかさを持つ小さな街で適当な食堂を見つけたが、意外においしく量も多かった。その街の外れにある
ノースポート灯台に寄っていよいよアンの故郷、キャベンディッシュ方面へ向かう。

●ノースケープ灯台にて 風と共に去りぬ!?

 アンが降り立ったのはこんな駅?と想像させる旧ケンジントン駅舎を見て、ニューロンドン灯台に到着。アンの映画のロケにも使われたこの憧れの灯台は今や中は荒れ果てており、キャロルさんのソサイエティや管轄官庁が修理してくれるといいな、と思った。

 そこから5分ほど走ったところにあるケープトライオン灯台
 林に囲まれた細い道を進んでいくと、絵画の中に飛び込んだかのような光景が目に入る。草原の緑、タンポポ畑の花の黄・綿の白、青の海、灯台の赤白、なんと美しいのだろう! 
 そのアングルを自分のものにしたく皆撮影に余念が無い。うっとりしながら道を戻る私たちを、野に暮らすキツネの家族が見送ってくれた。


●ケープトライオン灯台  気が遠くなるほどの美しさ!


●タンポポ畑にて

●楽しい会食


●フレンチリバー 息を呑む美しさ!


 アンのファンなら大喜びの愛らしいコテージに荷物を置いたら近所のイタリアンレストランへ。酔っ払いのような話し方をする陽気なウエイトレスについてもらい美味な時間を過ごしたらそろそろ今日もおしまい。
●キンドレッドスピリッツ・カントリー・イン


4日目:キャベンディッシュ
 〜キンドレッドスピリッツ・カントリー・イン泊〜
 できたてのジャム、メープルシロップ、パンケーキ、オムレツでおなかを満たしたら、コテージの裏にあるアンの家・グリーンゲイブルズへ行く。
 徒歩5分で到着してしまうこの敷地に一歩足を踏み入れると、そこは物語の世界そのままだった。
 満開のライラック、咲き頃のリンゴの白い花、マロニエの大きな木、恋人の小径に群生する可憐なわすれな草。館内見学もギフトショッピングも女性陣は大変熱心で、灯台ツアーであることを忘れてしまいそうだった。

 いかにも観光客相手という大型レストランで昼食をすますとノースラスティコ灯台へ出かける。
 途中、「赤毛のアン」の作者モンゴメリーの生家があり「中へ入りたい方は?」と尋ねると女性全員が入館してしまい、男性陣は外で待つ羽目に。このころからぐんと寒くなり、午前中の初夏の日差しは消え、気温は10℃を下回る。

●アンの家 今日まで生きてて良かった!


●ノースラスティコ灯台 さむっ!!
 目的の灯台につき車外へ出ると真冬の寒さ。海風の強さも手伝って震えが止まらないので、集合写真だけさっさと撮って皆、車へ戻って行った。 同じ海岸線沿いにある次のコーブヘッド灯台は、キラキラ光る緑の美しいレンズが印象的で、多少寒さにも慣れたせいか、前の砂浜で貝や石、シーグラスを拾うメンバーの姿も見られた。

 今日の夕食は遠いシャーロットタウンまで戻ってロブスター料理。海にせり出したそのレストランは景色も味も大満足で、すっかり打ち解けたメンバーは紙エプロンを胸に付けながら灯台や「赤毛のアン」、嘘か本当かわからないプライベートな話で盛り上がる。1時間かけて帰る車内で皆がうとうとする中、初日から運転しっ放しのドライバーお二人は街灯もない真っ暗な草原の間の道を宿まで無事に届けてくださった。本当にお疲れ様です。


5日目:キャベンディッシュ−スーリ〜ジョンソン・ショア・イン泊〜
 
温かいジャムやマフィン、フルーツで朝を迎えると、自分がアンになったかと思わせてくれた、可愛いこのコテージともお別れして出発。
 最初に向かった
ポイントプリム灯台は1845年建造の島で最も古い灯台で、唯一円筒形である。鍵を開けて中を見学させてくれると約束のあった人は、1時間遅れて到着した我々を寒い中待つことができずに帰ってしまっていて残念だった。
 気を取り直して目指した
ウッドアイランド灯台は内部見学が可能。かつて灯台守たちが住んでいた6部屋の建物が一体となっており、またここから見えたという幽霊船がイメージできるよう細工された楽しい窓も展示されていた。
 そこから東へ海岸線を進むと
ケープベア灯台がある。ここはニューファンドランドで沈没したあのタイタニック号から最初のSOSを受信したことで有名な灯台だ。支えている真下の断崖の浸食がひどく、すでに土台部分が傾いていて亀裂が何本も入っており、「あと何年もつかな」と皆心配した。

 この時点で予定時刻よりも遅れが生じていたため、昼食は目当ての街のレストランではなく、道中見つかったところで調達しようということになった。しばらく走るとフェリー乗り場がありそこの食堂で休憩。メンバーが注文したどのメニューも高くてまずい。が、隣接するちっぽけなギフトショップが意外にも「ちょっといい灯台グッズ」が揃っておりそっちに時間を費やしてしまった。

 いよいよツアー最後の灯台、イーストポイント灯台である。文字通り島の東端にあり、目の前の海は三つの潮流がぶつかり合う荒れた海。そのため陸地はどんどん浸食され、過去に5、6回も移動した経験を持つ。
 スタッフの案内で展望室まで登り激しい潮流を見ながら、船にとっては難所であること、ここの厳しい自然環境と灯台守の苦労を伴った生活について伺った。ここで我々は島の最西端の灯台と最東端の灯台を訪問したという証明書を全員が受け取った。なんだかとっても得をした気分になった。
 今回のツアーでは小さなものを除いて合計13か所の灯台を訪れた。やっとこなしたというよりはむしろこれで終わりか、という寂しさがちょっとあるほどだった。

●ノースポイント灯台にて 証明書をゲット!


●最果ての海岸


ジョンソン・ショア・インにて 最後の晩餐
 夕方着いたジョンソン・ショア・インは館内のインテリアの趣味もよく、部屋からは目の前に広がる海、そこから陸地へそそり立つ赤土の断崖、ホテルを囲む草地を一望することができる。
 各々おしゃれして食堂に会するとまずはシャンパンで乾杯。筆舌に尽くしがたいほどおいしい料理を楽しんでいると、窓にオレンジと黄色に輝く夕陽が映り皆が外へ出た。ため息しか出てこないその光景は、ロマンチストなYYさんに「僕はもう、今、ここで死んでもいい」と言わせるほど美しいものだった。すっかり真っ暗になると今夜もTTさんの部屋にカナダビールを持ち寄って、旅の夜を締めくくった。


6日目:スーリ−シャーロットタウン−成田(翌日着)
 
6時にチェックアウトする我々に簡単な朝食を、と出てきたのはふわふわのオムレツと温かいビスケットだった。素敵なホテルに別れを告げシャーロットタウンの空港へ。
 別用で次の目的地に向かうYY、KY夫妻に何度も手を振り飛行機に乗り込む。離陸して暫くすると上空からコンフェデレーションブリッジが見え、やがて島がだんだんと小さくなっていった。


 ライトハウスラバースのツアーの最大の魅力は、メンバー各々が過度に束縛しあうことなく独立し、しかし互いに迷惑をかけることなく協調性を持っている事だと思う。この土台に支えられてこそ、灯台もアンの家も夕陽も食事もギフトショップも楽しいまま心に残るのだ。
皆さん、またお会いしましょう。

 最後に、2歳の娘をおいてツアーに行ってしまった私のために多大な理解と協力をしてくれた夫と母に心から感謝いたします。                          
鎌倉市在住 澤藤 愛



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